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ごはん応援プロジェクトレポート!「大宮地区社会福祉協議会」
キッズドアでは、「食」で子どもを支える活動のための「ごはん応援プロジェクト」を行っています。
本プロジェクトの支援対象はひとり親家庭をはじめとした要支援世帯のこども等であり、こども食堂等を実施する団体に対する助成事業です。
2024年度、全国から多数のご応募をいただきました。プロジェクトに参加されたきっかけや日頃の活動について一部団体をレポートします。
今回は、奈良県で活動されている特定非営利活動法人大宮地区社会福祉協議会様をご紹介いたします。
【団体概要】
団体名:特定非営利活動法人 大宮地区社会福祉協議会
代表者:今西 康乃
HP:https://oomiya-shakyo.jimdofree.com/
所在地:奈良県奈良市三条大路一丁目8-23-205
活動内容:
奈良市大宮小学校区の地域住民に対して福祉サービスを行っています。地域社会の活性化に関する事業を行い、住みよい街作りに寄与することを目的に子どもや高齢者に寄り添った活動をしています。子ども食堂の運営、小中高生への居場所づくりと学習支援、地域住民のための通いの場の提供、高齢者に対する給食サービスやサロンの開催など、地域住民すべての世代に途切れない支援と寄り添い活動をしています。

【“いつもと同じ”安心感をきっかけに】
子ども食堂のきっかけは、学校の隣の畑でお昼ご飯を提供したのが始まりです。コロナ禍に様々な活動が停滞し、休校を余儀なくされた子どもたちやご家庭のことを考えると、給食がなくなることで大変な状況だろうと思い、お弁当やおにぎりを無料で提供しました。月曜日から金曜日まで毎日お昼ご飯を配り、最初は1日80人程が集まっていましたが最後は250人まで増え、約2ヶ月半で合計7,105食を配りました。ごはんを必要としている子どもたちに届けられたことを実感し、それから子ども食堂を続けてきました。
食事を提供することで保護者や子どもたちと話すこともでき、感謝の言葉をいただきつつ、いろいろな声を聞くことができました。「いつも同じ地域の人やスタッフが温かく迎えてくれてうれしい気持ちになる」、「昼夜逆転の生活にならない」、「休校への不安がある中、学校の近くで安心感が得られて家に帰って勉強をしてみようという気になる」など、始めたときには想定していなかった声を聞くことができました。
コロナも収まり始めていましたが、この活動を続けていく必要性を感じたとともに、まだ必要としている子どもやご家庭があるのではないかと考え、継続的に子ども食堂を開催することにしました。夏休みや冬休みなどの長期休みでは平日開催し、夏休みの後半では毎朝行うラジオ体操で朝ご飯を配ることにしました。どんどん参加人数が増えてきたので、ごはん応援プロジェクトに応募することになりました。

【人とのつながりが学びの場に】
わたしたちの団体で食事を作るには買い物やメニューの考案、後片付けや場所の確保などハードルが高かったので、子ども食堂の開催について地域の飲食店のみなさんにお願いしました。快く引き受けてくださった飲食店の方々にご協力いただいてお店を貸し切り、協働で子ども食堂を行っています。現在は、飲食店のみなさんのおかげで自団体だけでは受け入れないような人数の方が来てくれています。
また、食材選びや食事内容もすべて飲食店のみなさんにお任せしているおかげで、わたしたちは配膳をお手伝いしながら、子どもや保護者と情報交換することに注力できます。子ども食堂で会話ができて人がつながり、輪が広がります。保護者ともつながることができるので、子どもだけでなく保護者を含めてアプローチすることができ、学習支援にもつなげることができるという良い影響があります。
飲食店で子ども食堂を開催することで想定外の良い変化もありました。飲食店のみなさんと子どもたちが顔見知りになり、登下校時のあいさつや声かけをしてくれるので地域の見守りにつながっています。地域のつながりを感じ、それは自団体や1団体だけでは行き届かないことなので大変ありがたいです。先日、学校帰りの子どもがケガをした際、顔見知りの飲食店に駆け込んで救急車を呼んでもらったり、保護者や学校に連絡してもらったりしたことがありました。顔見知りになる、気軽に声をかけ合える仲になることで地域での安心感が生まれるような気がします。


【朝ごはんとラジオ体操で身に付く登校習慣】
夏休みのラジオ体操で配布する朝食はコンビニエンスストアに協力いただき開催しています。朝ご飯を配ることでラジオ体操の参加率も高まりました。子どもたちは「どんなご飯がもらえるのか楽しみ」と来てくれています。
保護者の方にも大変喜んでいただいて「助かります」という声や、子どもを朝起こすために「今日はどんな美味しいご飯かな。行ってみよう」と声をかけて一緒に来られるのでありがたいという声も多いです。
ご家庭での楽しみのひとつになっているのかなと思います。早起きして身支度を整えて来ることで、生活リズムが乱れがちな夏休みも「涼しい午前中にちょっと勉強してみようかなと思う」という声も聞きました。
近年、夏休み明けの不登校や自殺が多いと聞くので、夏休み後半にかけてラジオ体操に通い、登校する習慣が身に付くのは良い効果になっているのではないかなと思っています。ラジオ体操には先生方も来られ、子どもたちに声かけをしてくれるので登校へのハードルが下がっているようです。


【ロールモデルと「相談できる相手」の存在】
子どもやご家族が孤立してしまう状態にならないために、今後も子ども食堂の活動は継続する必要性を感じています。子ども食堂を通じて、子どもや保護者同士のつながり、住民同士の触れ合いが生まれ、地域で生まれたつながりや触れ合いの積み重ねが住みよい地域を作ると考えています。子どもたちには様々な人と触れ合い、身近なロールモデルを作ってほしいです。「この人のようになりたい」、「あの人のような高校生・大学生になりたい」という目標は子どもの成長に大きく役に立つはずです。また、子どもたちが相談できたり、一緒に考えたりできるところが少なくってきていますので、先生でもない、保護者でもない、「相談できる相手」にわたしたちがなれればと思います。
ボランティア団体としての歴史は長いですが、2020年に法人を立ち上げたばかりなので、まだまだ手探り状態です。これからも様々な人との触れ合いを大切にして、地域のネットワークを絶やすことなく活動を進められればと思います。

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