言語の壁が
進学や就職へ
大きく影響しています。
8千人が学校に通っていない可能性
外国籍の子ども、文科省が調査
小中学校に通う年齢の外国籍の子どものうち、昨年5月時点で8183人が学校に通っていない可能性があることが、文部科学省の調査でわかった。昨年の調査から約1800人減った。2019年に初めて調査した時の約2万人からは大幅に減ってきているものの、外国籍の子どもが教育を受けられる体制は、まだ不十分な状況にある。
2023年4月22日|朝日新聞デジタル
海外ルーツの子、増えているのに…
授業理解できず、不登校や退学も
日本で働く外国人の増加に伴い、海外にルーツがある子どもたちが道内で急増している。18歳以下の道内在住者は過去10年で1.6倍になった。ただ、日本語学習や学校での勉強に苦戦する子は多く、不登校や退学につながるケースが目立つ。高校進学率も極端に低いのが現状だ。こうした子どもたちは日本でも親の母国でも進路が閉ざされる恐れがあり、支援の充実が急務だ。
2024年1月19日|北海道新聞
外国にルーツを持つ子ども達は、日常・学校生活などで様々な困難を抱えています。
このページでは、外国ルーツの子どもとその家族が抱える困難についてお伝えします。
外国ルーツの子どもとは
このページでは、「外国ルーツの子ども」を、親のどちらかまたは両方が外国出身者である子どもと定義します。これには、外国籍の子ども、日本国籍(二重国籍)の子ども、無国籍の子ども、外国出身の保護者と共に暮らす子どもなどが含まれます。
言語の壁
文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」によれば、公立学校で日本語指導が必要な児童生徒は全国で58,307人で、この数は年々増加しています。
一般的に学校での学習に必要な「学習言語能力」の習得には通常5年から10年かかるとされており、多くの外国ルーツの子ども達は、言語の壁の問題に直面し、学校の授業についていくことが難しい状況にあります。
進学や就職へ影響する
言語の壁
文部科学省の調査によると、日本語指導が必要な中学生等の中で、高校等へ進学する割合は89.9%でした。これは、全ての中学生等(99.2%)に比べてやや低い数字です。
同様に、日本語指導が必要な高校生等の中から中退する割合は6.7%で、全ての高校生等(1.0%)より高いことがわかりました。また、日本語指導が必要な高校生等の中から大学等などへ進学する割合は51.8%で、全ての高校生等(73.4%)よりも大幅に低いことが分かりました。
※文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」をもとにキッズドアが作成
さらに、日本語指導が必要な高校生等のうち、卒業後に就職した中で、非正規の雇用に就く割合は39.0%で、全ての高校生等(3.3%)と比べてかなり高いことが明らかになりました。また、日本語指導が必要な高校生等の中で、卒業後に進学や就職のいずれもしていない者の割合は13.5%で、全ての高校生等(6.4%)よりも多いことが示されました。
※文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」をもとにキッズドアが作成
これらの結果から、日本語を充分に話せないことが、進学や就職に影響を及ぼす教育格差の要因の一つになっていることが明らかになりました。
家庭内での教育への
サポート不足にもつながる
子ども自身の言語の壁だけでなく、家庭からの十分なサポートが得られないことも、教育格差の要因のひとつとなっています。外国出身の親を持つ家庭では、子どもに日本の学習や学校に関するアドバイスを提供できないことが多く、学校のテスト、進学先選び、入試手続きなど、親子ともに理解できないことがたくさんあります。
また、学業に限らず、学校からの配布物を理解できなかったり、指定された持ち物を持たせられなかったり、PTAの活動が理解できなかったりすることもあります。実際、子どもの方が親よりも日本語が出来ることが多いため、子どもが学校や行政の通訳をする必要がある家庭も増えています。
つまり、外国ルーツの子ども達は、家庭からの十分なサポートが得られない可能性が高く、親子ともに日常的に困難に直面しているのです。
「外国ルーツの子」への
キッズドアの取り組み
キッズドアが開催する一般の学習会・居場所では、これまでも外国ルーツの子どもは参加していましたが、2020年に外国ルーツの子どもを対象とした学習会・居場所事業を立ち上げました。学習支援をするだけでなく、受験等の情報を提供したり、日常の困りごとの相談に乗ったりしています。
また、2022年に、日本で暮らす外国ルーツの子育て家庭を支援する情報サイト『ことこと』を開設し、学校行事や日本特有の文化などについて、わかりやすく解説する情報支援をしています。
キッズドアは、子ども達が直面している課題に対して、子ども‧家庭‧社会の側面から必要なアプローチをおこなっています。どんな境遇に生まれても、夢や希望を持って、生き生きと成⻑できる、子どもの笑顔があふれている、私達はそのような社会の実現を目指しています。
3つの主な事業
学習支援・居場所支援事業
ファミリーサポート事業
調査・提言・啓発事業
「外国ルーツの子ども」に関するニュース&トピックス
「外国ルーツの子ども」に関する現場からのレポート
参考データ
- 文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/genjyou/1295897.htm