子ども達の体験や
デジタル環境が
将来の収入に影響します。
動物園に行ったことがありません。
キッズドアの学習会に通う生徒

学校から、インターネット上の模擬試験を受けなさいと言われたけれど、PCがないので受験できませんでした。
キッズドアの学習会に通う生徒

生きることに必死で、文化的体験にまで目をかけてあげられない歯がゆさや罪悪感がいつもあります。
ファミリーサポートで支援を受ける
困窮子育て家庭の保護者

子どもに習い事をさせられない分、学校の部活はやらせていますが、部活用品を買い換えられないことがよくあります。遠征の際の電車代もきついです。
ファミリーサポートで支援を受ける
困窮子育て家庭の保護者

家庭の経済的な状況や生まれた地域によって、子どもの学校外の体験や
デジタルデバイスに触れる機会に格差が生まれています。
このページでは、体験格差・IT格差やその影響についてお伝えします。
学力形成に必要な
3つの資本
教育格差の解消は、世代間で連鎖する貧困を断ち切るために重要な取り組みです。子ども達の学力向上がその鍵です。青山学院大学の耳塚寛明先生によれば、学力向上には「経済的資本」、つまりお金が必要なだけでなく、さまざまな文化や社会的経験を積む「文化資本」、そして信頼できる大人のサポートが欠かせない「社会関係資本」が必要です。
さらに、文部科学省の調査によれば、子ども時代の様々な体験活動が、「学業への意欲」「自己評価」「精神的な回復力」などを向上させる効果があることが示されています。
経済的資本
文化資本
社会関係資本
高い学力
文化資本
- モノ(本・美術品など)
- 価値(学業重視・学歴期待など)
- 行動様式(努力・欲求充足延期など)
社会関係資本
人的ネットワークに埋め込まれている、子どもを見守りケアし育てていく上で活用できる手段の総体
貧困がもたらす体験格差
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの「子どもの「体験格差」実態調査 最終報告書」によれば、世帯年収300万円未満の家庭の子どもの約3人に1人が、1年を通じて学校外の体験活動(スポーツ、文化芸術活動、自然・社会・文化などの体験)を全くしていないことが分かりました。その一方で、高収入世帯の子ども達は、スポーツや文化活動などを豊かに経験していることが示されています。
したがって、貧困状態にある子ども達は、お金がなくて習い事が難しかったり、休日にどこかへ出かける経験がなかったり、学校以外で他の人と交流する機会が限られているなど、非常に厳しい状況に置かれています。つまり、学力向上に必要な「文化資本」と「社会関係資本」が不足していると言える「体験格差」が存在しているのです。
IT格差とは
最近では、文部科学省の「GIGAスクール構想」により、学校でパソコンやタブレットを使った授業が増えています。しかし、学校から貸し出される端末は、自宅に持ち帰れなかったり、使えるアプリが限られていたり、性能が低かったりすることがよくあります。
「情報通信白書 令和5年版 」によると、家庭の年収によるインターネット利用率には差があります。年収が400万円以上の家庭では87.2%以上がインターネットを利用しているのに対し、年収が200万~400万円の家庭では76.5%、年収が200万円未満の家庭では61.0%しか利用していません。つまり、経済的困難な状況にある家庭では、パソコンやインターネットが利用できないことや、ネット回線の料金が払えないことが多いのです。
そのような環境にいる貧困家庭の子ども達は、宿題にパソコンやインターネットを使う機会が増えていても使うことができないため、IT格差が学力の格差につながっていきます。
また、家庭にパソコンがあって気軽に使える環境で成長した子どもと、そうでない子どもでは、ITスキルの習得に大きな差が生じます。これが、PCスキルを含むITリテラシーの格差につながってしまいます。高校を卒業して進学や就職する際にも、パソコンを使う必要があるため、ITの格差は将来の経済的な格差につながる 可能性があるのです。
「体験格差・IT格差」へのキッズドアの取り組み
キッズドアでは、企業や他団体など外部の協力を得て、自然・ものづくり・異文化・農作業・オフィスツアー・食育・美術館・コンサートなど、貴重な体験を子ども達に提供しています。さまざまな年齢や職業の大人と共に過ごすことで、楽しみながら新しい知識を得たり、コミュニケーションスキルを向上させたりする機会を提供し、子ども達が自分自身を見つめ、将来の進路について考えるきっかけとしています。
また、企業や他の団体と連携し、貧困家庭にパソコンとWi-Fi端末を無料で貸し出したり、ITスキルやデザインを学ぶプログラムを開催したりしています。これにより、経済状況や家庭環境に関わらず、子ども達にITの力を身につける機会を提供しています。
キッズドアは、子ども達が直面している課題に対して、子ども‧家庭‧社会の側面から必要なアプローチをおこなっています。どんな境遇に生まれても、夢や希望を持って、生き生きと成⻑できる、子どもの笑顔があふれている、私たちはそのような社会の実現を目指しています。
3つの主な事業

学習支援・居場所支援事業

ファミリーサポート事業

調査・提言・啓発事業
「体験格差・IT格差」に関するニュース&トピックス
「体験格差・IT格差」に関する現場からのレポート
参考データ
- 平成25年度 全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究
https://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/pdf/hogosha_factorial_experiment.pdf - 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン「子どもの「体験格差」実態調査 最終報告書」
https://cfc.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/cfc_taiken_report2307.pdf - 文部科学省「令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告 ~21世紀出生児縦断調査を活用した体験活動の効果等分析結果について~」
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00738.html - 総務省「情報通信白書 令和5年版」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r05.html