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生活保護家庭の子どもの高等教育進学時における世帯分離について ―― 子どもの進学機会を守るための制度見直しを キッズドア調査室マンスリーレポート Vol.3
5月27日、超党派の「子どもの貧困対策推進議員連盟」の下に設けられた「教育格差を考えるワーキングチーム」において、『生活保護家庭の子どもの高等教育進学時における世帯分離※』が議題として取り上げられました。
(※)世帯分離とは、生活保護世帯の子どもが大学等に進学する際、その子どもを制度上別世帯として扱う仕組みです。これにより、当事者である子どもは、学費に加え、家賃・光熱費・通信費などの生活費を自ら負担しなければならなくなります。また、世帯に属していれば受けられる医療扶助も適用外となり、医療費の自己負担も生じます。世帯分離の手続きにあたっては、子どもは在学証明や収入申告、生活費の負担状況を、保護者は同居の場合の家賃・光熱費の分担などを示した書類を福祉事務所に提出し、生計が分離され扶養関係がないことを証明する必要があります。
当日は、世帯分離をして大学に進学したAさん(1年生)から、現在の生活実態についての報告がありました。
- 週3~4日、授業後に18時から22時まで飲食店でアルバイトをしており、収入は月約8万円
- 毎月の支出は最低でも4~5万円で、残りは次年度以降の学費のために貯蓄
- 奨学金は受給しているものの、生活を維持するためには学業とアルバイトの両立を継続せざるを得ない
- とにかく生活の余裕がない。本当はサークル活動もしたいが、活動の出費を考えると自分の中での優先順位が下がり、入っていない
- 国民健康保険など、さまざまな手続きを自分でしなければならない。必要な情報も自分で取りに行かなければわからない。大学生になったとたん、いきなり社会に放り出されたような気がする
世帯形態別に大学進学率を見ると、令和3年時点で全世帯の進学率が8割を超えている一方、生活保護世帯では4割にとどまっています。Aさんのように、進学後に生活費を自ら賄わなければならない負担の大きさが、進学自体を躊躇する要因となっていると推測されます。

現在の国の方針は、一般世帯の中にも
- 高校卒業後に就職するケース
- 奨学金やアルバイトで学費・生活費を賄いながら進学するケース
など、多様な進路選択が存在することとの均衡を理由に、大学生を最低生活保障の対象とすることについては慎重な立場が取られています。これが、世帯分離が基本となっている背景です。
一方、地方自治体の中には、東京都世田谷区のように、子どもの貧困対策の一環として、生活保護世帯や社会的養護出身の若者に対し給付型奨学金を設けるなど、独自の支援を行っている例もあります。しかし、そのような取り組みはごく一部に限られ、全国的な制度とはなっていません。
現在の生活保護制度では、「最低限度の生活」に高等教育は含まれておらず、大学進学はあくまで個人の選択と位置付けられています。しかし、大学進学率が8割を超え、進学が事実上の前提となりつつある現状と、この制度設計との間には大きな乖離が生じています。
国からの代替支援として、修学支援新制度による給付型奨学金や授業料等減免、生活保護世帯からの進学に対する進学準備給付金などが用意されていますが、いずれも生活費全体を保障するものではありません。
そのため、生活保護世帯の子どもは、学びのために過重な自己負担を強いられています。生活費を賄うためのアルバイトに多くの時間を費やさざるを得ず、学業との両立が困難となるケースも少なくありません。中には、勉強に費やす時間が減り、その結果奨学金受給に必要な成績の維持が出来なくなり、退学せざるを得なくなったという悲しい事例もあります。
生まれ育った環境にかかわらず、すべての子どもが将来の可能性を広げる機会を等しく得られる社会を実現するためには、現行制度の見直しが不可欠です。
高等教育へのアクセスを保障する観点から、実態に即した制度への改善を強く求めます。
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