インタビュー
子どもの貧困
教育格差
ニーズが多様化し多くのボランティアのサポートの必要性を感じます
みんなが語るキッズドア
-港区中学生学習支援事業 ふらっぱー-
東京都港区は日本でも有数の経済的格差・教育格差が大きい場所です。港区の子どもたちに接することで、日本の子どもの貧困の課題が見えてきます。
キッズドアの受託事業「港区中学生学習支援事業 ふらっぱー」は、港区内に住む生活保護受給または就学援助受給世帯の中学生向けの無料学習会です。子どもたちにどのようなサポートを行っているのか、学習会の取り組みなどを担当者に聞いてみました。

-港区中学生学習支援事業 ふらっぱーの特徴を教えてください。
東京都港区在住の生活保護受給世帯または就学援助受給世帯の中学1~3年生を対象とし、港区内の8教室で年間各45回、学習会を開催しています。学習支援ボランティアによる講師1名に対して生徒1~2名程度のマンツーマンに近い学習指導を行い、生徒に寄り添った支援を心がけています。
キッズドアからみて港区は、学習意識が高いエリアであり、中学受験する割合も高く、公立中学校では、地域の環境から学習意識が高い世帯と、そうでない世帯との二極化が進んでいます。後者は海外ルーツで日本語が堪能ではない場合や支援級に通学している生徒も含みます。
学習会以外にも季節イベントとして各教室でビンゴ大会や頭脳ゲーム、お菓子のつかみ取りなどを行いました。
また港区内にあるコンサルティング会社の企業見学をし、将来についてコンサルティング会社の社員ボランティアと話すイベントや複数企業の見学会やそこで社員の方から話を聞く機会も設け、生徒間の交流や将来に向けた視野を広げる活動もしています。

-子どもたちをサポートしていく中で心がけていることはなんでしょうか。
学習支援だけではなく、第3の居場所として、学校や家庭生活の相談の場、将来のビジョンが描けるように生徒と大人とのコミュニケーションを大切にしています。またどんな生徒も安心して過ごせるように、居心地が良い空間づくりにも重点を置いています。
-これまで思い出深かった出来事はありますか。
学習支援ボランティアの方々から、各教室で学習会中の合間に実施する生徒に向けてのミニトークについて大学生~シニアまで幅広い年齢層の学習支援ボランティアの方々から、生徒へ向けてご自身のキャリアや経験、考え方などをお話頂いています。社会に対する興味のきっかけづくりを目的として不定期で実施しています。
今年度は、大人から伝えたい事と生徒が聞きたい事には相違があると感じ、生徒にミニトークで希望するテーマをアンケート形式で聞き取りをしました。その結果、趣味の話が一番人気となり、次いで中高生の時の話、失敗談が同率となり、仕事の話への興味はあまり高くない結果となりました。
今までは、生徒には様々な経験をしている大人達から仕事の話を伝えることが、良いことだと考えていましたが、改めて生徒と大人のニーズには、相違があると気づかされました。
今後は、趣味の話プラスで、ボランティアさんへミニトークをお願いしたいと思います。

-これまでの歩みと今後の展望はありますか。
2017年6月から中学1,2年生対象で2教室から開始し、今年度で7年目になります。
現在は中学3年生も対象となり、8教室で学習会を開催しています。年々ニーズが増えていることを実感しています。近年は150名以上の生徒が参加し、さらに海外ルーツの生徒が増えたり受験ニーズなども多様化しており、それらに応じるように手厚くフォローするため、多くのボランティア講師のサポートの必要性を感じます。
-最後に今後の意気込みをお聞かせください。
8教室で約150名の生徒数は、キッズドアが受託している学習会中でも規模の大きい学習会になります。そのため、多くのボランティアさんのご参加が必要になります。今後は地域企業と連携し、ボランティアさんのご参加を募っていきたいと思います。また港区の学習会の登録ボランティアさんの特徴として、港区内でご勤務されている方が多くいらっしゃいます。そのため、複数の地域企業と連携しイベント等が開催できればと考えています。