スタッフレポート
教育格差
今年度新たにスタートした『リホップ』 ありのままを受け止めて、失敗を恐れずやってみる
『リホップ』は今年の4月から東京都豊島区の千川で開始した高校生等利用者の居場所事業であり、東京都の委託事業、学びのセーフティネット事業として運営を開始しました。これまで本駒込で行っていた居場所事業を移転し、高校生等が学習をしたり、様々な人とコミュニケーションをして知見を広げ、ひとり一人がのびのび過ごせる居場所になるように努めています。
運営の目的としては高校中退予防や進路支援などが挙げられます。まだ生徒の受け入れを始めたばかりのため、どのような高校生等が来るのかわかりませんが、これまでの傾向を見ると本人の特性(発達障害など)、周りの環境(家庭環境など)、社会とのつながり(対人関係など)など、何かしらの課題があり、うまく生活に適応できていない方が来るのではと考えています。
ひとりでも多くの方が利用できるように、まずは高校生等の話をよく聴き、それぞれの特性に合わせて関係を構築していこうと考えています。音楽が好きであれば、好きなバンドやグループなどを聞いたり、ゲームが好きであれば、ゲームのことを聞いたりします。好きなことを聞くことで、本人がそれらをどのように捉えているのか、本人にとってどれほど大事なのかがわかり、大変興味深いです。またボードゲームをして打ち解けることもあります。「ジェンガ」は盛り上がり、親しみやすくなるので、よく使っています。進学意欲が高い高校生等とは、いっしょに問題集を解いたりもします。
また今回、施設の名称も新たにして事業をスタートしています。キッズドアとしての高校生等支援ネットワークで統一感をもった名称にするとともに、利用する高校生等が何度でも跳躍できる願いを込めて『リホップ』としました。また、居場所以外にも活動を広げ、出向いていくことも予定しています。都内の通信制の学校に訪問して、校内カフェを作って進路の相談を受けたり、レポート作成を手伝ったりする予定です。高校生等には様々なシーンでの支援が必要と感じています。
私は、『リホップ』の業務全般を任されています。若いうちから重要な役割を任されるのはキッズドアならではだと思います。生徒対応もしながら、関係機関と連絡を取り、様々な調整も行っています。することがたくさんあり、忙しくてあっという間に1日が過ぎていきますが、毎日充実しています。今は、高校生等が居心地よく、「また来たいな」と思う居場所にしていくことをいつも考えています。事務所や塾のような空間ではなく、自分の家のように落ち着く空間を作りたいと思っています。ぬいぐるみを増やして安心感を与えることやソファーでくつろげるように本やマンガなどを設置したり、またメタバースを駆使して、ひきこもりなど、なかなか外出ができない高校生等にもアプローチできるのではと、アイデアは尽きません。最大20名が入る規模で、現在スタッフはアルバイト6名、職員2名の8人体制です。ボランティアは募集中です。つい最近、区の方からのご紹介で立教大学や学習院大学のボラティアセンターともつながったので、今後増えていってくれたらと考えています。生徒たちの未来に向けた一歩を後押しができるような空間を目指していきたいと思います。
学生時代にボランティアで学習支援をしたのが私の大きな転機でした。そのとき関わった子どもたちが、両親やごく少数の大人の姿を見て自分の将来を決めているようで将来に対する視野が狭いのではと感じました。学校だけではなく、新たな環境によって年齢の近い大学生や経験豊かな年配の方からアドバイスをもらったり、様々な悩みを打ち明け、子ども自身の可能性を広げられる重要性に気づきました。月日が過ぎると学校や公的な教育機関ではなく、また塾などとは違うNPOならではの学習支援に関わりたいと強く思うようになりました。
本格的に就職活動を始めると学習支援の仕事には社会人経験が必要なところが多かったのですが、キッズドアはそのようなことはなく、「すべての子どもに夢や希望を」というvisionの下、若手でも積極的に仕事をさせてもらえています。キッズドアの内定をもらった時の喜びは今でも覚えています。ただ入職したタイミングでコロナによる緊急事態宣言が出て、大変な状況でした。新潟から上京し、右も左もわからず、誰かに気軽に相談できる状況でもなく、不安が大きかったです。基本的には在宅ワークでしたが、週の半分程度は出社していました。そのときに色んな人にアドバイスを求めるとどんなことでも快く答えてくれて本当に助けられました。
自分がしたい仕事に就けること、同じ思いで仕事をしている人々に囲まれていることは幸せだと実感しています。キッズドアのダイナミックでスピーディーでハートフルな仕事は私を成長させてくれています。いずれは、地元の新潟で同じような仕事ができたらと考えていますが、キッズドアの事業規模は大きく、理事長渡辺のすごさを身に感じます。今は目の前の仕事に取り組み、自分に磨きをかけ、一人でも多くの子どもの可能性を広げられるように力を注いでいきたいと思います。3年目となり様々な仕事をさせていただき、感謝と成長を感じています。高校生等と共に『リホップ』、そして私の可能性を広げ、多くの人の喜びを創り、ひとり一人が輝く、あたたかい社会になるように毎日頑張っていきます。
Y.S
都内の高校生等を対象に学習支援や進路支援の相談、行政や関係機関との調整などの事業運営を担当
キッズドアスタッフ歴
2年1か月(2022年4月時点)
得意科目
社会(公民系)
最近のうれしかったエピソード
・生徒から「ここ居心地よくて来ちゃうんだよね~」と言われたこと
・親友の結婚式で友人代表スピーチを任されたこと