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保護者の心が折れる前に ~困窮子育て家庭におけるメンタルヘルスの危機と社会的孤立~ キッズドア調査室マンスリーレポート Vol.7
1. 困窮子育て家庭の約6割が「要注意/要受診」レベル(K6スコア)
キッズドア調査室が実施した「第2回困窮子育て家庭と一般子育て世帯のパネル調査(※1) 」において、心の健康状態を測る指標(注1.K6スコア)を分析したところ、キッズドア・ファミリーサポート登録の困窮子育て家庭の保護者では約6割が「要注意/要受診」に該当し、昨年と同水準の深刻な状態が継続していることが明らかになりました。 一般世帯(2割超)と比較して約3倍の高水準であり、特に「ひとり親世帯」でより深刻な傾向がみられます。
注1: K6とは、うつ病・不安障害などの精神疾患のスクリーニングのために開発された、心理的ストレスを含む何らかの精神的な問題の程度を表す指標。6項目を5段階で点数化し、回答の合計点が5 点未満は「問題なし」 、5~10点未満は「要観察」、10点以上は「要注意/要受診」となり、合計点が高いほど、精神的な問題がより重い可能性があるとされている(※2) 。
図1. ひとり親世帯のK6のスコア
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2. ひとり親の困窮子育て家庭の約8割が孤独を感じている
同調査(※1)において、孤独感を測る指標(UCLA孤独感尺度)を分析したところ、困窮子育て世帯の保護者では、一般世帯の保護者と比較して、孤独感を強く感じていることが明らかになりました。ひとり親世帯ではより顕著で、約8割の保護者が孤独を感じています。
図2. ひとり親世帯のUCLA孤独感尺度のスコア
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*どの程度孤独を感じているのかを検証するために、孤独という主観的な感情を間接的な質問により数値的に測定するために考案された「UCLA孤独感尺度」 の日本語版の3項目短縮版に基づく質問をしました。「UCLA孤独感尺度」(※3)の日本語版(※4)の3項目短縮版(※5)は、3つの設問への回答をスコア化し、その合計スコアが高いほど孤独感が高いと評価する内容となっています。調査結果の取りまとめに当たっては、内閣官房孤独・孤立対策担当室実施の「人々のつながりに関する基礎調査(令和7年) 調査結果の概要 」(※6)を参考に4区分に整理しました。
3. 物価高・生活困窮と連動する精神的ストレスと孤独感
長引く物価高騰の中、困窮子育て家庭の保護者の8割超が「生活が苦しい」と感じており、食料や衣類の欠乏を経験しています(※1) 。 日々のやりくりや将来への不安、頼れる相手がいない社会的孤立(孤独感)が、保護者のメンタルヘルスを直接的に圧迫しています。
図3. ファミリーサポート登録世帯の生活意識
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図4. この1年間に、経済的な理由で、買えないことがあった家族が必要としている項目
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働きたくても働けない悪循環 : 無職の困窮子育て家庭の保護者の約8割が、この1年間に、仕事を「自身の病気・心身の不調のため探せていない」と回答しており、メンタルヘルスの悪化が就労や収入の改善を阻む大きな要因となっています。
図5. 無職の保護者がこの1年間は仕事を探していたか(複数回答) (注2)
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注2:この1年に収入を得る仕事(単発のアルバイトを含む)をしていなかったと回答した者が対象。
4. キッズドアの提案
困窮子育て家庭への支援は、単なる一時的な経済支援にとどまらず、「アウトリーチ型の相談支援」や「保護者の心のケア・孤独孤立対策」と一体となった包括的支援が急務です。
その様な中で、以下のような、取り組みが必要なのではないでしょうか。
- 現行の困窮者自立支援・保健福祉施策におけるメンタルヘルス支援の拡充
- 孤立しやすい「ひとり親家庭」に対する精神的サポーターや居場所支援の強化
- 保護者の健康状態に配慮した柔軟な就労・生活支援制度の再構築
困窮子育て家庭の生活状況の改善に向けて、引き続きデータに基づいた実態発信を行ってまいります。
- キッズドア調査室マンスリーレポート バックナンバー
Vol.6 奨学金の必要性と返済負担の重さ ~社会的支援を今考えたい~
Vol.5 2025年国民生活基礎調査から見えてきた子どもの貧困の実態について
Vol.4 物価高騰で危機的状況の困窮子育て家庭に、この夏を生き延びるための支援を
Vol.3 生活保護家庭の子どもの高等教育進学時における世帯分離について
Vol.2 地域展開後も、全員が続けられる部活を!
Vol.1 自治体は、今すぐに夏休みの子ども支援の準備を!
参考
※1) 認定NPO法人キッズドア「第2回困窮子育て家庭と一般子育て世帯のパネル調査」
※2) 厚生労働省「国民生活基礎調査」用語の解説をもとに作成
※3) Russell DW. UCLA loneliness scale (version 3): reliability, validity, and factor structure. J Pers Assess. 1996;66(1):20-40.
※4) 舛田ゆづり,田高悦子,他:高齢者における日本語版UCLA孤独感尺度(第3版)の開発とその信頼性・妥当性の検討,日本地域看護学会誌.15(1):25-32,2012.
※5) Arimoto A & Tadaka E:Reliability and validity of Japanese versions of the UCLA loneliness scale version 3 for use among mothers with infants and toddlers. BMC Women’s Health. 2019;19:105.
※6) 内閣官房孤独・孤立対策担当室「人々のつながりに関する基礎調査(令和7年) 調査結果の概要」
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