スタッフレポート

子どもの貧困

ひとり親世帯の貧困

粉ミルクも生理用品も買えない —— 生活必需品が足りない母子世帯の悲鳴

月20万円未満で子どもを育てるという母子世帯の現実

物価高による家計への圧迫が止まりません。特に、1円単位で節約をしている貧困家庭では、毎日の食事だけでなく、生活必需品すら十分に購入できず、苦しい状況が続いています


なかでも
、母子世帯の貧困が深刻で、厚生労働省が公表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果」(※1)によると、母子世帯の母親の平均年間就労収入は236万円となっています。また、養育費の取り決めがある母子世帯は46.7%ですが、実際に取り決めが実行・継続されて受給できているのは28.1%にとどまっており、7割以上の母子世帯では毎月20万円に満たない収入で子育てをしている現状が明らかになりました。

表1.母子世帯と父子世帯の状況比較

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※1 厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果」をもとにキッズドアが作成

実際、キッズドアが子育て家庭への支援を行っている事業「キッズドア・ファミリーサポート」に登録している家庭の状況(2024年度)(※2)を見ると、85.4%が母子世帯であり、58.6%は世帯収入が200万円未満の家庭です。支援を必要としている子育て家庭がどのような状況にあるのか、現状が浮かび上がっています。 


また、総務省統計局が毎月実施している「家計調査(生活収支編)」
※3)によると、2024年における18歳未満の子どもがいる母子世帯では、日用品(家具・家事用品)の平均支出は月10,533円、衣類(被服及び履物)の平均支出は月9,819円となっており、限られた収入の中でやりくりしている様子がわかります。


これらのデータからも、ほとんどの母子世帯が家計に余裕のない状態で子育てをしており、子どもを育てるうえで十分とはいえない収入で生活している実態が窺えます。

 

粉ミルクも生理用品も買えない……母子世帯に今、起きていること

前述のキッズドア・ファミリーサポートでは、給食のない夏休みや冬休みの時期に、経済的に困窮する子育て家庭へ食料支援を実施しています。近年では、ある家庭から「粉ミルクが買えないため、水で薄めて飲ませている」との声が届き、粉ミルクの緊急支援を行ったこともありました。

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粉ミルクの緊急支援を受けた家庭から届いた写真


また、中学1年生の女の子がいる家庭からは、母親が病気のため、洗濯や掃除、食事の支度などを娘が担っているという状況の中で、「日用品でも食料品でも生理用品でも、なんでもいいので支援してほしい」と、助けを求めるメッセージが寄せられました。

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ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、2021年のコロナ禍には、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられた「#生理の貧困」(※4)という言葉が話題となりました。学生の5人に1人が生理用品を買えず、トイレットペーパーなどで代用している実態が明らかになり、社会的な注目を集めました。生理用品は、もはや日本においても“消耗品”ではなく“贅沢品”と化し、コロナ禍が収束した今も、貧困家庭では購入をためらう生活必需品のひとつとなっています。


さらに、ひとり親家庭に食料配布を行っている認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが実施した「ひとり親家庭の衣服の困りごとに関するアンケート」(※5)では、「子どもの服が古くなっても新調を諦めたことがある」と回答した世帯が7割を超えています。こうした状況から、「着ていく服がなくて、約束を断った」といった声も寄せられており、手持ちの服では場面に応じた装いができず、外出や人との交流を控えるケースがあることがわかります。アンケート結果の概要でも、“衣服の困難”が子どもたちの自己肯定感や対人関係を育む機会を奪い、心理面や社会生活に長期的な影響を及ぼすリスクがあると指摘されています。

子どもを共に支える社会へ

これまで述べてきたように、特に母子世帯では、毎日の食料品や日用品、さらには学校や部活動で必要な物まで満足に買えず、深刻な困難を抱えています。にもかかわらず、日本では貧困世帯への支援活動に対して、「自己責任」という言葉のもとで批判やバッシングが起きることが少なくありません。


たとえば、DVなどの事情で離婚を余儀なくされた女性が経済的に困窮することは、本当に本人の責任なのでしょうか。子どもがそのような家庭に生まれたのは「仕方がない」と片づけられてよいのでしょうか。どれだけ努力しても「自助」だけでは限界があり、「公助」だけでは支えきれない、あるいは支援が間に合わないという現実があります。であればこそ、地域や周囲の大人達による「共助」で子育てを支える必要があるのではないでしょうか。


キッズドアは、そんな子ども達の「未来をひらきたい」という思いで、日々活動を続けています。
そしてその思いを現実にしていくためには、皆さんの力が必要です。子ども達の未来に希望を届けるために、どうか私達と一緒に歩んでいただけたらと願っています。

参考データ
※1)厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果
※2)キッズドア・ファミリーサポート「登録をしている家庭の状況(2024年度)」(20253月時点)
※3)総務省統計局「家計調査(家計収支編) 調査結果」2024年第3ー6表
※4)NHKクローズアップ現代「生理の貧困 社会を動かす女性たち
※5)特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン「ひとり親家庭の衣服の困りごとに関するアンケート

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